子どもの感性を育む読書感想文の書き方

読書感想文の書き方 伸ばす国語

夏休みの宿題に読書感想文がありますよね。

多くの子どもたちがこの宿題を苦手とし、しばしば最後まで残してしまいます。

その理由は、何をどう書けばいいのか分からないからです。

要約ではなく、自己の変化や気づき

ある大手塾の読書感想文講座では、次のように指導します。

・前半を読ませて、感想を書く。

・後半を読ませて感想を書く。

・最後に全体をまとめる。

かなり大雑把ですし、これでは、書き方も本人任せによるところが大きいです。

何より本を読んで「よかった」などと書かせたところで、入賞するような内容にはなりません。

では、どのように書けばよいのか。

ここで大切なのは、本の内容を要約するだけではなく、子ども自身の生活や経験と結びつけた感想を書くことです。

入賞するような読書感想文は、ただ「面白かった」と書くのではなく、読書を通じて自己の変化や気づきを描き出すものです。

読書感想文を書く際のポイント

塾生に指導して何人も入賞させた経験から、読書感想文を書く際のいくつかのポイントを共有します。

  1. 本のストーリーを通じて自身の道徳性、生活の質、人生観がどのように影響を受けたかを反映させましょう。
  2. 字数制限を最大限利用して、子どもの思いや変化を具体的に表現します。
  3. 読書をきっかけとした自己変革や今後の変化について述べることが大切です。

例として、小学1年生が書いた読書感想文を紹介します。

ぼくは、このほんをよんで、こころがあるばしょはどこなのかをしりたくなってきた。なぜなら、ぼくは、こころはいろいろなばしょへ、いどうしているのかもしれないとおもったからだ。そして、いまは、あたまにこころがあるかなとおもっていても、すぐに、ちがうばしょにいどうしていることもあるときがついた。

たとえば、うんどうかいでリレーをしたとき。はじまるまえは、一ばんになれるかふあんだった。このときは、むねのあたりがキュンとした。だからこころは、むねのところにあったとおもう。リレーにかったとき。とてもうれしくて、からだじゅうにパワーがわいてきた。ぼくは、このときこころは、からだじゅうにひろがったのだとおもう。さいごに、いっしょにはしったともだちとあくしゅをしたとき。手がとてもあたたかくてうれしくなった。このときのこころは、手にあったのだとおもう。こうやって、こころはいろいろなばしょへいつもいどうしているのだと、ぼくはかんがえた。

ぼくは、おかあさんの目をみるとこころがわかるときもある。いま、おこっているのかよろこんでいるのかつたわってくる。こえをきいてもわかる。ひくいこえのときはおこっているし、おてつだいをしてよろこんでくれているときは、

「ありがとう。」

と、かわいいこえではなしかけてくれる。かおをみたり、こえをきくだけで、こころのなかがすこしわかるのはおもしろいとおもった。

 だから、これからは、ぼくのこころがつたわるようにはなしをしようとおもう。そして、おかあさんやおとうさん、ともだちのきもちも、わかってあげられるように、こころのばしょをときどきさがしながら、はなしをきこうとおもう。そうすると、もっともっとみんなとなかよしになれるとおもうからだ。

進学塾サンライズの小学1年生の生徒の読書感想文

この小学1年生が書いた感想文では、「心」がどこにあるのかを学校のリレー大会や日常の家族とのやり取りを通じて探求しました。

このような視点から、読書感想文は子どもたちの内面を表現する素晴らしい機会となります。

読書感想文は、国語のスキルを鍛えるだけでなく、子どもたちの内面を見つめ、感性を豊かにするチャンスです。

だからこそ、この夏、子どもたちが心からの感想を言葉にする手助けをしましょう。

そして、お子さんの思いや変化を丁寧に紙に記す過程を大切にしてください。

そうすることで、子どもたちの感性が更に育まれ、読書の喜びが深まるでしょう。