具体と抽象

具体と抽象 塾長の指導観

国語が苦手になるのは小4あたりからで、その原因は語彙力不足だと考えられます。

知らない言葉が多ければ、文章の意味を理解することが難しくなります。

特に抽象語。

身の回りにあるものや頭でイメージできるようなものは、はっきりとわかるのですが、そうではない言葉を理解するのは難しい子が多いと思います。

国語の指導で最初に意識させるのが、「言葉」です。

しっかりと意味を理解しているかどうか、対話をしながら確認をし、丁寧に説明していくことが大事だと考えます。

例えば、「具体」と「抽象」について、きちんと説明できるでしょうか?

少なくとも私の塾では、最初からきちんと説明できる子に出会ったことはありません。

小学生でも、中学生でも同じ。

国語が得意だという子でも「具体って、詳しいってことでしょ?」と答えます。

(「具体」と「詳しい」が類義語かどうか調べてみてください)

多くの子が、よくわからないまま国語を勉強しているのでしょう。

では、辞書で調べたらどうかというと、辞書的な意味は、

「具体」・・・人間の感覚でとらえられる形や内容を備えていること。

「抽象」・・・物事の性質、共通性に着目し、それを引き出して捉えること。

さあ、これで意味がよくわかりますか?

理解している人には、なるほどその通り、となるのですが、わからない人にはサッパリです。

これらを理解させるのは、小学校1年生でもわかる、次のような例を挙げるとよいでしょう。

(A)飛行機、自転車、自動車

これらをまとめると、(B)「乗り物」です。

Aはそれぞれ特徴があり、はっきりと一つ一つ頭で思い浮かべることができます。

だから、Aは「具体」となります。

一方、BはAの共通部分である「乗り物」を引き出しているので、「抽象」となります。

では、自動車は必ずしも「具体」かというと、そうではありません。

自動車、といってもバスやタクシー、トラック、救急車などがあります。

この場合は、自動車が「四輪で路上を走る」という共通部分を表しているので、「抽象」となり、バスなどが「具体」となるのです。

つまり、単独で「具体」「抽象」と決まることはなく、何かと比較することで、「具体」になることもあれば、「抽象」になることもあるのです。

ここで、「共通部分」というと数学のベン図を思い出しますが、

↑こういったイメージではなく、下図のように抽象の中に具体が含まれているイメージです。

ここまでわかっていれば、「具体的に説明せよ」などと問われて長い文章を書けばよいと思う子はいないでしょう。

言葉の定義がわかれば、国語が一気に読みやすくなりますよ。